現在、多くのケーブルテレビはテレビなどの放送サービス、インターネットサービス、電話の3つのサービスを加入者に同時に提供する「トリプルサービス」を実施しています。
また今後、放送と通信サービスの高度化や視聴者ニーズの変化に対応していくため、各ケーブルテレビ事業者が必要な機能やサービスを共有できる仕組み(ケーブルプラットフォーム)の構築が進められています。
このうちIP映像伝送機能の共有化については、J:COMとJE(ジュピター・エンタテイメント)が開発したIP-VODプラットフォーム「milplus(みるプラス)」やJ.COTTの「cottio(コティオ)」が開始され、全国に拡大しています。
(一社)日本ケーブルテレビラボの次世代STB仕様(JLabs SPEC-023)に準拠したケーブルテレビ用STBを「ハイブリッドBox」といいます。
ハイブリッドキャストBoxは従来型STBが持つケーブルテレビ放送受信機能に加え、ケーブルモデム、無線LANルータの機能も内蔵されています。
またグーグルの基本ソフトAndroid(アンドロイド)OSが搭載されているため、アプリの追加・利用が可能です。
ハイブリッドBoxの標準仕様は以下のような機能・サービスを目的に策定されています。
・ケーブルテレビの基本機能(従来型STBが持つ機能)
・ Android OS搭載によるアプリの追加・利用
・ HTML5ブラウザ搭載
・ チャンネル情報、EPG情報などテレビ機能をアプリで制御する機能
・ 長時間録画、他デバイスへのコンテンツ転送のための変換機能
・ 映像、音声などをホームネットワークで共有する機能(DLNA)
ハイブリッドキャストBoxはケーブルテレビ、インターネット、DLNAによる家庭内ネットワークに対応しているほか、Android端末の機能を持っているため、いろいろなサービスを楽しむことができます。
・DLNA対応機器があれば、ハイブリッドBoxで録画した番組を他の部屋のテレビやスマートフォンで視聴可能
・ゲーム、生活情報等のAndroidアプリが利用可能
・インターネットを介したマルチデバイス(パソコン、スマートフォン、タブレット等)との連携が可能
ハイブリッドBox技術仕様に準拠したSTBとしては、KDDIが提供している「SmartTV Box」があり、J:COMをはじめとする一部のケーブルテレビで利用することができます。また将来的にはハイブリッドキャストへの対応も検討されています。
第5章ではDLNAやデジタル放送のリモート視聴など、テレビを中心としたホームネットワークについて解説します。
5.1 DLNA
5.2 DTCP-IP
5.3 デジタル放送のリモート視聴
DLNA(Digital Living Network Alliance)とは、テレビやパソコン、スマートフォン、ネットワーク対応ハードディスク(以下NASという)など、機器やメーカーを問わずホームネットワークを通じて、映像・音声・写真などを共有するためのガイドラインです。
DLNAに対応した機器をホームネットワークにつなげば、以下のような楽しみ方ができます。
・リビングのレコーダに録画した映像を、ほかの部屋にあるテレビやスマートフォンで視聴する
・スマートフォンに保存された音楽をワイヤレスでコンポから再生する。
・スマートフォンでNASに保存された動画を探して、テレビで再生する。
DLNAガイドラインではHTTPやMPEGなど、既に使われている規格や技術に対して相互接続のルールを定めています。
DLNAという相互接続ルールによって、異なる機器やメーカーであっても相互に映像・音声・写真などのデータのやり取りを可能としています。
ただし、メーカー毎に独自で追加している機能や、同一メーカーであっても対応している機能やファイル形式が異なるなど、互換性が100%確保されているわけではありません。
メーカーによっては、DLNAで利用できる機能をWebで確認することができます。
なおデジタル放送など著作権保護されたコンテンツを共有するためには機器がDTCP-IPに対応している必要があります。