テレビ放送が開始されて、昭和40年ころまでは受信条件が比較的単純であり、受信方法もきわめて簡単であった。しかし最近は、テレビチャンネルの増加(多方向、多チャンネル)、UV混在、カラー化、一家に2台以上、団地、アパートなどの集合受信、ビル陰難視、有線テレビの出現などにより、受信条件が複雑となり、従来のような簡単な受信方法では対応が困難になってきた。
そのため受信不良の増加となり、カラー化に伴う聴視者の画質改善の要望が高まってきた。
そこで、販売店、メーカー、NHKなどテレビ受信に関係のある団体が推進力となり、テレビ受信向上委員会を結成し、以上のような受信条件に適用できる受信アンテナから受信機までの総合的な受信システムを策定して、受信関連機器の性能向上を図るとともに、その普及を図って良好なテレビ受信環境を実現し、聴視者の要望にこたえんとするものである。
昭和46年4月14日
テレビ受信向上委員会設立当時の背景(「30年のあゆみ」より)
主な事業概要と実績
■受信システム機器の性能向上・規格化
受信システムを組上で必要とされる各種機器単体の性能向上のために、次のような試作・改良・規格化を関連業界とタイアップして推進した。
・高妨害排除能力テレビの開発
・VHFゴースト改善用アンテナの試作
・性能の良い同軸ケーブルの開発・JIS化
・各種コネクタの開発・規格化(プッシュオン型、C15型、BSCX用)
■受信システムの標準化
・受信アンテナ・共聴機器の蝶マーク化
・衛星放送受信機器を対象としたBSマーク、BSデジタルマーク制度化
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■受信システム技術者の育成
受信アンテナ・ホーム共聴・BSアンテナ等の設置工法の簡易化・円滑化を図るとともに、時代の要請に合わせて新技術の習得と工事技術者の育成・レベルアップを目的に全国電商連や電工組と技術講習会を全国で展開した。
また、時流の合わせた各種セミナーを地方テレビ受信向上委員会と連携して全国で開催した。
・衛星放送受信技術講習会
・デジタル時代の放送受信技術講習会
・BSデジタルセミナー
■受信システムの開発と普及促進
画質不良の都市共聴の点検、アンテナ・共聴改善点検、BS導入に向けての受信キャンペーン等、年度ごとにテーマを定めて、地方テレビ受信向上委員会と連携し全国展開した。
また、「CEATEC JAPAN」や「グッドリビングショー」、「住宅リフォームフェア」などのイベントにおいて、望ましい受信システムの展示などを行った。
■各種実態調査等の基礎活動
諸活動推進の基礎資料として、多方向受信地域の実態調査、テレビ受信設備工事実態調査、BS・UVホーム受信システム機器の性能調査等、目的に応じて各種の調査を行い、現状把握ならびに問題点の摘出に努め、各種事業に役立てた。
・「リモコン機能の操作性向上に関する調査」
・「受信システム機器使用状況実態調査」
・「AV機器の相互接続方法に関する調査」
・「BS-IF共同受信システム技術調査」
■諸活動に対する各種受賞
○放送文化基金の受賞
昭和50年に、「受信アンテナの高性能・小型化」に成功したアンテナ開発グループが、昭和52年に、「テレビ受信読本シリーズの編集・発行」により個人が、それぞれの功績により、放送文化基金賞を受賞した。
○郵政大臣賞の受賞
平成11年6月1日「電波の日」にあたり、「放送受信システムの確立とその普及により、受信環境の向上させるとともに、デジタル放送時代に対応した受信技術者の育成に尽力し、放送の高度化に向け多大な貢献をした」とし、郵政大臣表彰を受賞した。