地上放送やBS放送を良好に受信するためのポイントを中心に解説しています。
第3章 デジタル放送のトラブル事例と対処方法(工事中)
※2010年度発刊のデジタル放送技術 ~地上・BS放送受信ノウハウ編~のPDF版ダウンロードはこちら
・地上デジタル放送の受信ノウハウ (18MB)
・BSデジタル放送の受信ノウハウ (2MB)
・地上デジタル放送の信号測定ノウハウ (6MB)
地上放送やBS放送を良好に受信するためのポイントを中心に解説しています。
第3章 デジタル放送のトラブル事例と対処方法(工事中)
※2010年度発刊のデジタル放送技術 ~地上・BS放送受信ノウハウ編~のPDF版ダウンロードはこちら
・地上デジタル放送の受信ノウハウ (18MB)
・BSデジタル放送の受信ノウハウ (2MB)
・地上デジタル放送の信号測定ノウハウ (6MB)
デジタル放送では、受信レベルが高いだけでは、良好受信が出来ない場合があります。
また余裕を持って受信している映像と受信限界ギリギリで受信している映像は同じため、画質では判断出来ません。
安定受信するためには、画質確認、受信レベル測定にあわせて、CN比(MER)、BERなどの信号品質の確認が必要です。
BERは受信可否の判断、CN比(MER)は信号品質の管理に適しているため、それぞれ補完しながら使用します。
アンテナ設置・調整の際には、受信レベルのほかに信号品質としてCN比(MER)、BERを必ず測定してください。
地上デジタル放送の受信機入力レベルは、電波産業会(ARIB STD B21)において、34~89dBμVと規定されています。
しかしデジタル放送では、受信限界を超えたときに急激に画質が劣化することから、電波の変動などの余裕を見込んで、望ましい受信機入力レベルは46~89dBとしています。
図:望ましい受信機入力レベル
なお、デジタル受信機には「アンテナレベル」や「受信レベル」を表示する機能がありますが、表示される数値はCN比の換算値を表しており、電波の強さ(受信レベル)ではありません。
またCN比を求める換算値はメーカーや機種により異なるため、アンテナ設置時の参考値としてください。
デジタル放送を安定受信するためには、受信レベルに加えて、信号品質が重要となります。
信号品質表す数値としてCN比(MER)とBERがあります。
CN比(MER)は信号品質の余裕度を表す数値です。安定的に受信するために25dB以上の数値が確保出来るようにアンテナ調整を行います。
25dB未満でも受信することは出来ますが、安定受信の余裕度は少ない状態です。
BERはデータの誤りの割合を表す数値で常にゼロ0が望ましい値です。チェッカー(測定器)でE-4、E-3などの数値が表示がされた場合は、受信は出来ていますが、受信限界ギリギリの状態です。
CN比(MER)は安定受信の余裕度、BERは受信可否を判断するのに用います。
図:望ましいCN比とBER
CN比とは、Carrier(キャリア:信号)とNoise(ノイズ:雑音)の比で、受信した信号の品質を表した数値(単位:dB)
信号品質が高いほどCN比は高い数値を示します。また同じ端子電圧(受信レベル)でもノイズレベルが高いとCN比は小さい値となります。
図:CN比とは?
MER(エムイーアール)はデジタル信号の変調誤差比の意味です。
伝送途中に加わった雑音等によりコンスタレーション上(下図)の理想点からどの程度ずれているか表した数値です(単位:dB)。地上デジタル波では64ポイントで評価しています。
図:MERの概念
CN比:20~30dBの範囲ではCN比とMERの値は高い相関があります。 測定器で受信レベル以外に信号品質を確認する場合、CN比かMERのいづれかで判断できます。
なお、現在市販されているデジタル測定器、チェッカーのCN比の値は、MERを測定し、CN比へ換算し表示する機種がほとんどです。
図:CN比とMERの相関性
BER(ビーイーアールもしくはバーという)とは、ビット誤り率といい、“0”と“1”で送られたデジタル信号がどの程度誤って受信しているのかを表す数値です。
地上デジタル放送は、一定以下の誤りは訂正する機能があるため、画面上には症状は現れませんが、それを過ぎると訂正がきかなくなり急激に劣化します。
このため、BERを測定すると現在の受信品質が判断できます。
BERは、一定以上の信号劣化があると急激に変化するため、受信可否の判定に適しています。
MER(またはCN比)は、劣化状態が広範囲に観測できるため、受信出来なくなるまでの余裕度を把握することができます。
地上放送を安定受信するためのUHFアンテナの基本を解説します。
地上放送で使用されるUHFアンテナは受信する帯域によって、利得が異なります。
受信するチャンネルに合ったアンテナを使用しないと、電波の強い地域であっても受信不良となる恐れがあるため、地域のチャンネルにあったUHFアンテナを選びます。
UHFアンテナには素子(横に並んでいる棒状の金属)の数によって、アンテナ利得(電波を受信する力)が異なります。
素子数が多くなるほどアンテナ利得が高くなりますが、アンテナの指向性は狭くなります。
地域の電波状況に合った受信アンテナを選びます。
受信アンテナには、最大感度方向があります。安定した放送受信をするためには 送信所に正しくアンテナを向けます。
なお、最大感度方向の利得から3dB低下する2つの方向をはさむ角度を「半値幅」といい、半値幅が小さいほど指向性が鋭くなります。
指向性が鋭いアンテナを正しい方向に向けることで、マルチパス(反射波)や妨害波を弱められ、障害を取り除き信号劣化を防ぐことができる場合があります。
電波の周波数や送信点からの距離によって受信電界強度が変化します。
そのため、受信チャンネルにレベル差がある場合はアンテナ(高さや位置)の調整が必要です。
アンテナは高くすれば良くなる場合だけではないので注意が必要です。
<ポイント>
ハイトパターンピッチ(レベル変動の周期)は、周波数が高いほど、 また、送信アンテナ高が高いほど短くなり、送信点・受信点間距離が遠いほど長くなります。
ブースターは入力された信号を増幅する機器で、通常は受信アンテナの直下に設置し、受信された信号品質を保ちながら信号量(レベル)を上げて運用します。
ブースターの利得(増幅量)は、分配器やケーブルなど受信システム内での減衰量を考慮して選定します。
なお、ブースタの定格出力を大幅に超えて使用すると、ブロックノイズや受信不良になるため注意が必要です。
またブースターの取付け方法に不備があると、「ブースター発振」による受信不良が起こる場合があります。
ブースター発振はブースターで増幅されたテレビ信号の一部が入力側に戻り,更に増幅され強力な妨害電波を発生する現象です。
F型接線タイプの受信システム機器の普及により発生頻度は減りましたが、ブースター発振が起きた場合は、妨害電波が受信アンテナなどから放射されるため、広範囲(周辺100m~1km程度)に受信障害が発生します。
ブースター発振を防止するには
・アンテナとブースターの間隔は十分に空ける。
・ケーブルはアンテナマストに束ねず、スタンドオフ(インシュレータ)を使用する。
・ケーブルは直付けせず、F型接栓を使用する。
・F型接栓タイプのブースターを使用する。
同軸ケーブルには、太さや編組による減衰量の違いのほか、シールド数の違いなどがあります。
電波を良好な状態で伝送するためには、低損失でBS-IF帯までの性能が安定しているS-4C-FB以上の同軸ケーブルを使用する必要があります。
集合住宅などの共同受信システムにはS-5C-FBやS-7C-FB,低損失のHFLタイプの同軸ケーブルを使用します。
また、 3Cなどの細いケーブルや, 5C-2VなどのUHF帯の性能保証がないケーブルを使用している場合,経年劣化により減衰量が増加することがあります。
S-5C-FBなどのUHF帯の減衰が少ないケーブルを設置して改善を図ります。
ケーブルを極端に折り曲げたり,電源配線用のステップルで固定したりすると,被覆が傷つき腐食しやすくなるほか,断線やショートの原因となります。